修二と月子の披露宴会場にて……。

そこに、月子の兄家族の姿はなく、月子の身内は誰一人として来ていなかった。

招待状出した友人でさえ、組関係と分かっている式場に顔出す者はいない。

修二の方も、親戚の顔は一人もなく、昔の友人がちらほら来たくらいで、後は全てが…極道者で埋め尽くされた。

御披露目を終えた二人は、まだ果たせていなかった海へ……日本最南端の波照間島へ旅立った。


ここは、何処までも続く遠朝…夜の海…満天の星空の下………。

一頭の水牛が、背に二人を乗せ、静かな水音たてて歩いて来た。

  愛し合う二人。

   修二と月子。

  照らすは月の光。

もう誰も邪魔者はいなくなった。

二人を遮る物は何もない。

修二の背には観音菩薩が輝き……月子の肌は…ここの所また良くない方向へと…所々に湿疹が………。

が、もうそんな事はどうでもよかった。

所詮…人の体は、肉体は……魂が纏ったただの着ぐるみ。

この世の金も、飾りも、見える物、形ある物全てがまやかし…。

魂だけが、真実を求めている。

二人の魂は、求めていた場所に辿り着いた。