月子が修二の横でりんごを剥いていた。

外はお日様ポカポカ、窓が眩しいくらい明るかった。

平凡に生きても、非凡に生きても、太陽の恵みは平等に降り注がれる。

今、この時、全身に恵みを浴びながら、穏やかな時間に身を任せる二人。

修二が言った。

「月子さ、俺、もうすぐここ出るよ。今度こそ約束した海に行かないか?」

月子の手の動きは止まり、修二を見上げた。

「海?」

「あぁ、今度こそ一緒に」

「……」

揺れる揺れる修二への思い…邪魔人は…月子の心中に定住した原田。

月子は黙ったまま、黙々とナイフ動かし始めた。

「月子ね、これからも何が起きるかそれは分かんないけど、何がきても、俺はお前を守るよ。この先…ずっと俺の側にいてくれないか?」

赤いりんごが服を脱がされ、白い肌を見せた時、月子は修二を見上げた。

お互い瞳の中に、恋しい恋しい相手がいる。

愛し合う二人……。

「月子、一から始めようよ…」

「修二さん…そうしたい、本当はね、そうしたい…でも、犠牲になった原田を忘れ、私だけが幸せになるなんて、私…出来ないよ…」