「本当に、申し訳ない事しました。謝って済む問題でない事は分かっています。どうか…どうか奥様に宜しくお伝え下さい…ごめんなさい…」

月子は原田家を後に、とぼとぼと歩き出した。

問題はこれで終わり……ではない、と言うより、今から、これからなんだと…己れに言い聞かした。

私は人殺し…罪人…自分の手を下さずに、感情と言う武器で原田を殺めた。

原田は…私の心中でずっと生き続けていく。

それは、己れの命が尽きるまで、続くに違いない。

堪えていかねば…喪に服して生きていかなくては……。

修二さんの事は?

魂が右へ行ったり左へ行ったり……掴むに掴めず…するりと逃げて行く。