修二は寝台に乗せられ、個室部屋へと運ばれて行った。

組員の中に、月子の覚えていた顔が一人いた。

あの日、修二と初めて結ばれた日に、部屋まで送ってくれた運転手、名前は山下と言う。

山下は、修二の一番舎弟、修二が最も信用出来る男だった。

月子は山下と目が合った。

こっちに歩いて来た。

「月子さん、お久しぶりです。後は、日にちが薬ですよ。兄貴から、月子さんの事はよく聞かされてました。あまりご心配なされないように……」