約束の時間…8時になった…修二の姿が見えない。
那覇行きのフェリーが港で待っている。

???修二さん、どうしたの?

もう少し、あと5分待ってみよう、それで来なかったら電話してみよう。

月子は、修二の携帯に発信した。

呼び出し音が鳴る、6回、7回、8回、出ない?何で? 9回、その時、
「はい、もしもし」

?修二さんの声じゃない、誰?いったい誰なの?

私…間違って違う人に?

「あのぅ…この番号って、仲田修二さんの携帯では?」

「あぁ、で、お宅どちらさん?」

「どちらさんって? 修二さんの携帯なら修二さんに代わって下さい」

「私は、中央警察の刑事だけどね、仲田修二なら、今、新宿南緊急病院にいる」

「意味が…言ってる意味が分かりません」

「事件だよ、刃物で刺され、今、重症状態で、それより知り合いなら、色々聞きたい事あるから、今すぐ病院の方に来て頂きたい」

月子は全身の力が抜け、ワナワナとその場に座り込んだ。

「もしもし、もしもし!」

刑事が何か言ってる。

月子の耳は、もう何も聞こえなかった。

月子の目は、もう何も見えなかった。

最後の乗客乗せたフェリーが、港を後にした。