散らかった食器類を横に…月子はゆっくり倒され、原田が上に重なる。

危機感を感じた原田は、尚一層、月子が愛しい。

ざらついた舌が…顔を這う…瞼…鼻…頬…口内…いっその事、頭の先から足の爪先まで、食べてやりたいと、原田は思った。

月子の顔は…原田の唾液でぐちゃぐちゃ。

月子の両目尻からは涙が流れる。

止めどなく溢れる、命の泉……。

原田に対する同情心と、自分にやってきた罰の中で身動き取れず…微かな抵抗は…涙を流すしか方法がなかった。

月子は思った……もう出口はなくなったのね。

どう足掻いても、出口は塞がれたんだ。

この先の人生…原田と一緒……。

鰹と昆布でだしをとり、原田と仲良く、うどん粉こねて……。

修二さん…やっぱりあなたとは、今世紀では結ばれない運命なのね……。