嘘で繋がれた二人の真実は、お互いを想い合う気持ちだけだった。

修二が言った。

「もう戻れない事は知ってる、何も期待はしてない、友達って事で、月子さえ良ければ、たまに店に顔見に行っていいかな? 」

「えぇ、光栄よ、私は嬉しいわ」

「でもさ…俺はヤクザで、人も殺した…」

「それは…組の命令だったんでしょ?」

「……」

命令と言えば命令だが…でも違うんだ、俺は…お前に振られ、自棄になり、極道の頂点を目指そうとした結果だった……とは言えない。

そうさ、月子のせいではない。

俺が考え、起こした結果だ。

修二は何も言えずに黙った。

月子は続けた。

「修二さんは、自分の感情だけで、人を殺めたりするような人じゃないって事、私、知ってるから…よほどの事情があったに違いないって…… 」

その時、月子の携帯が鳴った。

勿論……原田だった。