月子は、兄の家で二日泊まった。

店も休み、部屋にも帰らず、兄家族の暖かさに癒された。

「お兄ちゃん、本当にありがとう」

「龍子、本当にもう大丈夫なのか?」

「うん…」

「ここに、ずっと居ていいんだぞ」

「ううん、さおりさんにも悪いし、そんな訳にはいかないわ。お店も長く休む訳にはいかないから…私、帰るね」

「そうか…その男にちゃんと話せるんだな」

「うん、勇気出すよ。ちゃんと話してみる。本当の事言って……それで駄目だったら仕方ないよね」

「あぁ、その時は、お兄ちゃんとこにまた帰って来たらいいさ。変な事だけは考えるなよ…俺が悲しむような事だけはしないでくれよ、なっ龍子…」

「お兄ちゃん…わかってるって……」

兄は大きな大きな不安を抱いたまま、月子を手放した。


月子…急がないと、早く…早く…修二に…もう会えなくなるよ…急いで………。