今更…親父に…どんな面下げて泣きつきゃぁ、いいんだよ。
あれだけの啖呵切ったってぇのに……。
月子…カトレア通いもいつまで続くかわかんねぇやぁ……。

お前に気持ち伝える事もなく、魂も見せられない状態で…このまま闇に消えていくのか……。

何とかしなければ……。

初デートの次の日、修二はカトレアに来なかった。

明日、明日行くよって言ってたのに…帰りのタクシー内で月子は思う。

私から電話は出来ない。

この恋は、あの人の気持ちしだい。

これで二度と会えなくなったとしても、受け入れなくてはいけない……。

修二さんは、お客であってお客ではない。
店に来て下さいコールかけられる程、軽い気持ちなら、どれだけ楽だろう。

部屋に着いた、その時、ディスプレイに修二。

「もしもし月子?今日約束してたのに、悪い事したな」

「そんな悪い事だなんて……」

「仕事がちょっと忙しくてさ、明日行くよ、待っていてくれ」

「修二さん、無理しなくていいのよ」

本当は待ってた。

昨日の今日…もう一生会えないんじゃないかと、不安に怯えてた。

無理しなくていいなんて、哀しい強がり…。

  会いたい…。