天使の恋模様


はぁ?
遊びに来た、って絶対違うわね…、この子…。
ホントは何かしら…?

まぁ。
どうでもいいわ、そんなこと。


それよりも。
お鍋が焦げてるわ。

「あぁっ!?」

私がパタパタとお鍋に駆け寄るのを、柊なごみはボッーと眺めていた。

あーあ…。
結局まともにできたのは卵焼きだけだわ…。

真っ黒焦げになったお鍋を見ながら私、そう思った。

目をやると、柊なごみはまだペタンと床に座り込んで、茫然としながら、ブツブツと何かを呟いていた。



と。
「…あれ?何で鍵開いてるんだっ?……っていうか!焦げくさっ!?…げほっけほっ!こ、小羽!?……て、え…?」

ガチャリと音がして、秋の声がして、リビングのドアが開いて、私がそちらを向いて、柊なごみが驚いて、びくりと跳ねた。