慌てて飛び込んだ居間で、なごみは何者かと衝突した。
衝撃に跳ね飛ばされる。
「痛っ!」
「きゃうっ!」
部屋中、もくもくと充満している煙。
卵の焼ける匂いと、何かが焦げる匂い。しかしそれは火事によるものでないと分った。
そういえば、今、ぶつかったのって…?
何処かで耳にした声。
…?
思って、前方に視線を向ける。と。
煙の中に浮かぶ、華奢なシルエット。
窓からの光でキラキラと輝く長い金髪。
―なごみは、彼女を知っていた。
それもそのはず。彼女は、今なごみが一番…いや、二番目に気にしていた人物。
「なんで…
「「貴方がここに…!?」」
向こうもこちらを認識したらしい。
彼女はまさに、桜 小羽だった。
彼女たちは、お互いの河上 秋との関係を、
もちろん、知らなかった。
