天使の恋模様


    ***

なごみは迷っていた。

ここは秋の家、の前。
中から生活音がするあたりから察して、留守ではないみたいだけど…。
入るべきか、入らないべきか…。

なごみは、迷っていた。

家の前をうろうろ。

と、そこでなごみは気がついた。
秋のうちの窓が、白く曇っていることに。
初めは、白いレースのカーテンかと思っていたが…秋の家のカーテンは、白でも、レースでもない。
「まさか…!」

急いで窓に面している庭に回り、中をのぞくと…。
無人の台所に残された、もくもくと煙を上げる、お鍋。
「…っ!秋っ!?」

まさか…火事…!?

なごみは、我を忘れて、家に飛び込んだ。
…鍵が開いていた。

まさか…放火…!?

なごみの苦労、もとい、勘違いは続く―。