***
なごみは迷っていた。
ここは秋の家、の前。
中から生活音がするあたりから察して、留守ではないみたいだけど…。
入るべきか、入らないべきか…。
なごみは、迷っていた。
家の前をうろうろ。
と、そこでなごみは気がついた。
秋のうちの窓が、白く曇っていることに。
初めは、白いレースのカーテンかと思っていたが…秋の家のカーテンは、白でも、レースでもない。
「まさか…!」
急いで窓に面している庭に回り、中をのぞくと…。
無人の台所に残された、もくもくと煙を上げる、お鍋。
「…っ!秋っ!?」
まさか…火事…!?
なごみは、我を忘れて、家に飛び込んだ。
…鍵が開いていた。
まさか…放火…!?
なごみの苦労、もとい、勘違いは続く―。
