天使の恋模様


鞄をごそごそとあさってみて、初めに触れた布を引き出して見る。
手には二枚の布が握られていた。
黄色いワンピースと……
淡いピンクのワンピースだった。

黄色のワンピースは、ひらひらしていて、ウエストの辺りでリボンを結ぶタイプの可愛い、市販のワンピース。これは、誕生日に母が買ってくれた。

もう一つは。

シンプルなワンピースの裾にレースが付いていて、胸元にはリボンついていた。
しかし、市販ではない。……手作りだった。

これは、小羽、が、私の誕生日に…あの子、お金が無いからって…!
涙があふれてくる。ぐいっと袖で拭う。

「…お母様、小羽…」

そう呟いて、小羽は、ワンピースをぎゅっと抱きしめた。