「顔、上げない…?」
根負けしたのは秋の方だった。
全く意気地なし。
そう、声に出して言ってやると、それは違わないか!?、と反論された。
顔を上げると、すでに顔を上げた秋がいた。
「ん、じゃあ私は荷物整理と、着替えをしようかしら。」
「そっか。手伝おうか?」「…。」
何よ、こいつ。着替えるって言ったのに、この変態。
…て言うか、いつまで、エアコンもない部屋に、暑苦しいドレスでいさせるつもり?
なんだかムカついたから、秋をドアの外に蹴り出してやった。
すると秋は、勢いよく飛んで、たまたまドアが開いていた向かいの部屋に突っ込んだ。どんがら音がしたけど、気にしない。
「ふんっ。」
ドアを勢いよく閉めてやった。
