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教室に戻ると、秋がかけよって来た。
「おい、どこ行ってたんだよっ!」
ほら、こいつ心配してるじゃないっ!なんだか、勝ち誇った気分で柊なごみ達を見やると、不思議で、驚いた顔をしていた。
小羽は、用は何?と言わんばかりに秋を見た。なんて言うかしら?心配したんだ、かしら…それとも、他の何か?
しかし、小羽の予想は大いに外れた。
秋は言った。
「今日、購買なんだ!付き合ってくれ、小羽!!」
なごみはほっ、と肩をなでおろした。なんだ、そんなこと…、と思い。
二人の親友をみると…実月が深刻そうな顔をしていた。
「…?」
一方小羽は、ワナワナと肩を震わせていた。
「この、私に…何を言うのかと思えばっ…!あんたがし、し、し、心配してるかと思って…!!!帰って来てやったのに…!!!!!」
「…っ!!!」
秋は小羽が、鬼に見えた。あれ…?こいつ、天使だよ…な…?
なんとも理不尽な…。と、クラスメイトは思った。
「この私にっ…!下僕の分際でぇっ…!!あんたの、用事に付き合えとっ…!!!」
ゴゴゴゴゴ…!、とすさまじいオーラとともに、パリーンっ、という音が響いた。
慌てて後ろを振りかえった秋の顔面に…!
グラウンドからの、白くて、丸い、贈り物が届いた。
「へぶっ!?」
へんな悲鳴を上げて、秋は倒れた。
勝者、小羽。
またもや小羽は、教室を去った。
残されたのは、目を回した秋と、驚くなごみ達とクラスメイト。
そして。
「あの、ツンっぷりと、罵り方…!たまらんっ!!!」
一握りの変態と、小羽ファンのみなさん。
と、白い野球ボール。
今日の教訓、天使は、怒らせると、恐ろしい。
