天使の恋模様


***

教室に戻ると、秋がかけよって来た。
「おい、どこ行ってたんだよっ!」
ほら、こいつ心配してるじゃないっ!なんだか、勝ち誇った気分で柊なごみ達を見やると、不思議で、驚いた顔をしていた。

小羽は、用は何?と言わんばかりに秋を見た。なんて言うかしら?心配したんだ、かしら…それとも、他の何か?

しかし、小羽の予想は大いに外れた。
秋は言った。
「今日、購買なんだ!付き合ってくれ、小羽!!」


なごみはほっ、と肩をなでおろした。なんだ、そんなこと…、と思い。
二人の親友をみると…実月が深刻そうな顔をしていた。

「…?」


一方小羽は、ワナワナと肩を震わせていた。
「この、私に…何を言うのかと思えばっ…!あんたがし、し、し、心配してるかと思って…!!!帰って来てやったのに…!!!!!」

「…っ!!!」
秋は小羽が、鬼に見えた。あれ…?こいつ、天使だよ…な…?


なんとも理不尽な…。と、クラスメイトは思った。

「この私にっ…!下僕の分際でぇっ…!!あんたの、用事に付き合えとっ…!!!」


ゴゴゴゴゴ…!、とすさまじいオーラとともに、パリーンっ、という音が響いた。
慌てて後ろを振りかえった秋の顔面に…!

グラウンドからの、白くて、丸い、贈り物が届いた。

「へぶっ!?」

へんな悲鳴を上げて、秋は倒れた。

勝者、小羽。



またもや小羽は、教室を去った。



残されたのは、目を回した秋と、驚くなごみ達とクラスメイト。

そして。

「あの、ツンっぷりと、罵り方…!たまらんっ!!!」


一握りの変態と、小羽ファンのみなさん。



と、白い野球ボール。

今日の教訓、天使は、怒らせると、恐ろしい。