―2年後―


ジェニファーの店の前に
一台の真っ赤な
スポーツタイプの車が
停まった。


ブルーサテンの開襟シャツに
黒いジャケットを羽織った
エリオットが車から降り立つ‥


店に入って来るなり

『やあ!ジェニファー
これから食事をしに行こう!』


真っ赤な薔薇の花束を
担いで手を上げながら
ジェニファーに声を掛けた。


カウンターから彼女を
引っ張り出すと、手にした
花束を差し出す。


『暫く見ないと思ったら!
ジェニファー?仕事中だぞ。』


店主が水を差す。


『エリオット?
どうしたの?』

ジェニファーも驚いて
聞き返した。


『僕は生まれ変わったんだ。』


ポケットから名刺を
取り出すと、

店主の目の前のカウンターに
1000$の札束と名刺を
置いた。


『何か困った事があったら
いつでも言って下さい。』


店主は置かれた名刺を
見て呟いた。


『《13》弁護士事務所?』


エリオットはあれから
勉学に励み、遂にあの時
願った弁護士の道を
歩み始めていた。