Strange

とりあえず藤堂に入れ方を教わりながら珈琲を入れてもらう。
手順は、簡単なようでなかなかに難しい。

●まず、 ペーパーフィルターを折りドリッパーにピタリとセットする。
●次に コーヒー粉を入れ、ドリッパーをゆすって表面を平らに。
●中心から細い湯をゆっくり注ぎ、全体に染み渡ったら止め、蒸らす。この時、湯の量が多いとコーヒーの旨味成分も一緒に流れ落ちてしまうのでサーバーに数滴落ちる程度にとどめる。
●粉の膨らみが頂点に達する直前に１投目のお湯を注ぐ。中心から「の」の字を描くように湯をゆっくりと粉の表面に「置く」ように注ぐ。ポットの先から粉までの位置が高いと、湯がよじれたり、フィルター内での対流に悪影響を及ぼすから、出来るだけ低い位置から湯を注ぐ。また、湯が直接フィルターにかかると、濾過層を通過せずフィルターをつたって湯のままサーバーに落ちてしまう為、端近くまで円を描いたら、そのまま中心へと戻るように。
●表面の泡にはコーヒーの「アク」が含まれているので、この泡を落とさないように注意！
●２投目を開始。この時湯面の高さが１投目と同じ位置になるよう注意する。これを越えると、コーヒーが薄く、水っぽくなってしまう。
●注湯を進めるにしたがって、泡の色が褐色から白っぽい色に変化していく。
●３投目に抽出を完了。

「以上。まっ、頑張って。」
とてつもなく軽く言い放った藤堂に、翔は大きなため息を返した。
とりあえず藤堂の入れた珈琲に口をつける。
「おいしい。」
つぶやいた翔に斉藤が微笑む。