Strange

斎藤はカウンター席に腰を落ち着けると翔に視線を向けた。
「君、名前は？」
「かけ…いや、ショウタです。」
とっさにでかかった本名を抑えてなんとか“ショウタ”と名乗る。
別に斎藤には本名を名乗っても何の問題もないが、アリスやリョクがいる場では翔は“翔”ではなく“ショウタ”でいたかった。
斎藤は何かを悟った風にうなづくと
「ショウタくん、今日は君が珈琲を入れてくれないかな？」
と優しい瞳で真っ直ぐにショウタを見つめた。
斉藤のほがらかな表情とは逆にショウタの表情は固まっていた。