彼女は手にしている団扇に視線を落とすと、「四月から見かけなくなってしまったんですね…」
「え…?」
「わたし、いつも見ていたんですよ、ドアガラスに映っているあなたの姿…」
「……!」
思いがけない告白に、健太はとっさに言葉が思い浮かばず、ただ口をポカンと開ける。
彼女は照れ隠しのようにクスッと笑うと、
「ごめんなさい。急にこんなこと言い出したりして…。実は、高一の時からずっと見ていました…。でも、もう逢えないものとばかり思っていたら、さっき改札口であなたらしき人を見かけて、それで気になって仕様がなくなっちゃって…」
「俺も、あなたのことすぐにわかったよ」
「ほんと…?」
健太はうん、と頷き、「そのポニーテールでね」
「ああ…」
彼女は髪に手を当てて、「これ…」「とてもよく似合っている」
「ありがとう…」「だからあの時、ジジイがあなたのポニーテールを掴んだ時はマジ許せなくて」
「ああ…」
あの時の情景を思い出したのか、彼女の表情が微かに曇る。しかし、すぐににこやかになると、
「でも、あの時のお礼が言えてよかった。ずっと気に掛かっていたんです。あの時は、とてもそんな状況ではなかったし…」
「え…?」
「わたし、いつも見ていたんですよ、ドアガラスに映っているあなたの姿…」
「……!」
思いがけない告白に、健太はとっさに言葉が思い浮かばず、ただ口をポカンと開ける。
彼女は照れ隠しのようにクスッと笑うと、
「ごめんなさい。急にこんなこと言い出したりして…。実は、高一の時からずっと見ていました…。でも、もう逢えないものとばかり思っていたら、さっき改札口であなたらしき人を見かけて、それで気になって仕様がなくなっちゃって…」
「俺も、あなたのことすぐにわかったよ」
「ほんと…?」
健太はうん、と頷き、「そのポニーテールでね」
「ああ…」
彼女は髪に手を当てて、「これ…」「とてもよく似合っている」
「ありがとう…」「だからあの時、ジジイがあなたのポニーテールを掴んだ時はマジ許せなくて」
「ああ…」
あの時の情景を思い出したのか、彼女の表情が微かに曇る。しかし、すぐににこやかになると、
「でも、あの時のお礼が言えてよかった。ずっと気に掛かっていたんです。あの時は、とてもそんな状況ではなかったし…」



