「やっと来てくれたな!
話しかけてくれるの待ってたんだ」
目を大きくさせて元気に話してくる女の子。
いや、美青年と言っても正しいのかもしれない。
色素の薄い肌に高い鼻。
きりりとしているが愛嬌もある瞳、綺麗な栗色の短い髪。
そして極めつけはこの喋り方だ。
一見しただけだと余裕で男の子と間違えてしまいそうな容姿だが、制服のスカートと、漂う女の子の雰囲気が彼女だということを証明している。
美青年に触れられているようで、少し照れる。
「待ってたって?」
「だって初日から遅刻する子なんて珍しいだろっ!だから話してみたいし。
それにうち助け舟だしてあげただろ?」
彼女は、和紗の腕を掴んだまま機嫌良く話している。
やっぱり助け舟だったんだ。
彼女の文末から遅刻騒動の時の笑いは和紗のためだったことを知った。
「あの時はありがとう。本当に助かったよ」
「堅苦しいのは無しだよ。うちらもう友達なんだから」

