目を凝らして見ていると視界にC組の文字が入った。

教室のドアから中を覗き込んでみると、運悪く教師が教卓に手をついて話している。


何と言っているのかは聞こえないが、この雰囲気の中いきなり割って入るのは相当勇気が必要だった。


和紗は本日何度目か知れぬ溜め息をついた。


大きく息を吸いドアに手をかけた時、背後で空気が移動した気配を感じ、和紗は弾かれたように振り返った。

だが既に遅し。


振り向いている間に、気配は和紗の横をすり抜け先程和紗していたようにドアに手をかけていた。
重々しい音がする。

ごつい見た目とは裏腹に驚くほどあっさりと開いたそれは、大きく口を開けてそこにある。


まるで獲物を獲るためにどっしりと構えているようだなと、和紗はぼんやりと思った。