《次は……》
突然、車掌の声が大きく響いて和紗ははっとした。
次は自分の降りる駅だ。
人混みにたじろきながら、だらける足を叱咤し降りる。
ここから乗り換えなわけだが、これがまた面倒くさい。
乗る電車が違うので、今いる駅から隣の駅に歩かなければならない。
そこまで結構歩くので和紗はため息をついた。
とぼとぼと歩きながら周りを観察する。
この時間帯、駅は賑やかになる。
学校帰りとおぼしき学生たちや、サラリーマン、カップルなど様々だ。
だがそれに混じってちらほらと柄の悪い人達がいるようだった。
道路の端で数人で固まって何やら話している。
何気なく見ていたつもりだったがその時、固まっていた人達の一人と目が合った気がした。
まずい。
本能的に悟り、和紗は歩くスピードを速めた。
周りから不自然に見えない程度の速度で歩く。

