戸惑いプリンセス






「はいはい、席ついて。初日ってことでみんな緊張してるかと思うが、初日といったらこれだろう?」


教卓に手をつき、体重を預けるようにして立っている。

いったん言葉を切った担任は口元を歪めて楽しそうに言った。


「やっぱり自己紹介だよな。ってことで、これから一人ずつ前で自己紹介してもらう。
じゃあまずは俺から」


そう言うと担任は黒板に向かい、チョークで何やら書き始めた。


どうせ名前書くんだろうな、とぼんやり和紗は担任の後ろ姿を観察する。


入学式とあって服装も髪型もちゃんとしていて清潔感がある。


まぁそれもそうだよね、根っからの潔癖症だし。


そう内心で納得したその時、自分が自然と笑顔になっていた事に気付いた。

まずいと思い、瞬時に笑顔を消し去り再び担任に目を向ける。