飛翔の月


「その娘たち、ここで好きなようにしていいぞ。」

赤至のこの一言で獣と化した盗賊連中が二人の娘をなぶり始めた。

「嫌っ!
やめてッ!!
お願いだから…」

「だっ、誰かぁあ!
誰か助けてッ!!」

娘たちの着ている着物を引きちぎり、ニヤニヤする盗賊達に赤魏は怒り心頭だった。

体中に巻き付けられた縄を思い切り燃やそうとする。

「無駄だよ。
その縄には術がかけてあって、燃やすのは無理だ。
珠煌の力も効かんだろうよ。」

「くっ…!」

「さあて、俺の手下になってもらおうか?」

赤至が笑うのと対照的に、赤魏は下唇を噛んだ。

血が滲んで鉄の味がする。

「──いいだろう。だから、早くあの娘達を放してやれ!!
この縄も解け、俺は逃げも隠れもしない!!」