飛翔の月


赤至は一息おき、

「赤魏、お前を利用させてもらうぞ。」

と赤魏を睨みつけた。

「はあ?」

「お前が火鼠の裘を取って来い。」

「嫌だね。」

「よくもまあ、そんな口がきけるな。
あの三人がどうなっても良いのか?」

赤至は赤魏の前髪をわし掴んで上に持ち上げ、ニヤリと笑った。

「さあ、どうする?」

「…。」

赤魏は何も答えない。

「…おい!」

赤至は手下を呼び

「捕まえた娘を連れて来い。
二人ともだ。」

と命じた。

あまり時を空けず、ドタドタと物音が聞こえてきた。

「嫌あ!
降ろして!!」

「うるせえ!!」

バンッと乱暴に扉を開けて、気色悪い笑みを浮かべた男どもが、二人の娘を肩に担いできた。