「赤魏様は、只今お寺のほうに…。」 幼少の頃より赤魏に仕えていた家老の朧が赤通に言った。 「何、また寺に逃げおったのか。 全く、あやつは自覚が足りぬわ。 いつ、隣国の天寿之國が攻めて来るやも知れぬのに。」 天寿之國は、飛翔之國の西にある軍事大国である。 すでに天寿の國の北、紅梅之國を攻め落とし、支配下に置いている。