アリはとても優しい。




キリギリスはその優しさに胸を打たれました。




でも自分がいくらいたって彼女のためにはならないし、ヒドい言葉を言ってしまうだけです。




キリギリスは一瞬、悲しそうな顔をして、いつものしかめっ面になるとアリに言いました。




「ふん。せいぜいやってな。冬なんてなんもねぇし面白くねぇ」




キリギリスはなるべく彼女の顔を見ずに言うとその場を後にしました。