「仁!まだ寝てるの?早く起きてきなさいよ!」



「はーい…」



母さんがわざわざ起こしに来るのは珍しい。まぁ、そうだな。今日は“ルカ”が帰ってくるんだから。



俺は重い体を起こして、リビングへと向かった。



まだ8時か。



ルカは9時にこの町に帰ってくる。



「母さん、まだ8時じゃん。もう少し、寝させてくれよ…」



なんて言ってみたけど…



寝られるわけがない。昨日は一睡も眠れなかった。



「…なーに、ごまかしてんの!楽しみなくせに」



ニヤニヤした顔で俺を見つめる母さん。



「なんだよ、ったく…」



母さんは苦手だ。本当に自由奔放な性格で何を考えてんのかわからないし、何かと俺をからかってくる。



「ルカちゃん、もっと大人っぽくなってるかもねぇ…」



「…」



ルカは小学生とは思えない、大人びた奴だった。そして、すごく綺麗な奴だった。