「わたし、いつもこのソファで寝てるの。ベッドだと落ち着かないんだよ」

ソファに座っているぼくを無視して、彼女は足元で横になってしまった。

「電気消すよ」

ぼくの返事を待たずにリモコンを押すと部屋は暗闇に包まれた。

自分自身の鼓動以外は何も聞こえない。しばらく暗闇の中でその音を聞いているうちに次第に目は慣れて、気がつくと鼓動もおさまっていた。

谷沢藍はソファの足元でかすかな寝息をたてている。

それを見てぼくはようやく緊張、そして煩悩から解き放たれた気がした。

さすがにハードな1日だった。
目を閉じるとぼくはそのまま眠りに落ちた。




疲れている時ほど、ぼくは夢を見る。
この日も例に漏れず、ぼくは夢を見ることになった。

なんだかハードな1日の影響が色濃く反映された、煩悩まみれの夢を。