北千住奇想曲

「本当にごめんなさい。他に頼れる人がいなくて・・・」

ペコっと頭を下げたまま、しばらくは頭を上げることはなかった。

「気にすんなって。まだお金も返してなかったし。利子分だと思ってさ」

ぼくは少しだけほっとしていた。
少なくともヘルスとかソープとかそういうところではなかったんだ。

「耳かきだったんだ。なんかもっと過激な事をしているんだと思ってた」

ぼくは酔いに任せて思ったままを言ってしまった。

「まあ・・・ね」

少しばかり谷沢藍の表情が曇った気がした。

「ほら、でも結構いやらしいお客さんとかくるしさ」

気を取り直したようにそう付け加えた。