「こちら北千住警察ですけれども、ヤマダさんでいらっしゃいますか?」

よりによって警察?一体なんでまたぼくに?
そんな混乱をよそに受話機からは男の声で驚くような名前が聞えてくる。

「谷沢藍さんのお知り合いで間違い有りませんか?」

「ええ、知り合いです。彼女に何かあったんですか?」

ぼくは混乱した頭で男に訊いた。

「働いているお店の方を捜査させてもらいまして、事情聴取させてもらってたんですよ」

ぼくはそこで納得した。
秘密のバイトか。
身元引受人が必要とのことでぼくはすぐに向かう旨を伝えて電話を切った。

心配そうに見ていたアサミさんに友達が警察にいるらしいので身元引受人として引き取りに行く、とだけ伝えてぼくは駅に向かって走り出した。