「そうそう、ヤマダくんは素直なところが良いところなんだよー。変にさ、うまくやろうとか回避しようとかそういう小ざかしい事は似合わないよ。そういうのはね、おっさんになれば自然に身につくんだからさ。今は素直な気持ちのままに生きるのが一番」

その言葉にぼくは不覚にも涙がでた。
アサミさんはそれを気付かない振りをして、料理のメニューを睨み、店員を大きな声で呼んでいた。

店員にメニューを頼み終わったタイミングでぼくはアサミさんに言った。

「千夏とちゃんと話をしようと思います。例の女の子の件はちゃんとケジメをつけてから。それまではぼくは動きません」

「まあ、そんなに堅くなることないよ。会いたいなら会えばいいじゃんー。別にそこまでアタシは気持ちを押さえつけるべきじゃないと思うよ。ただね、卑怯な真似はするな、それだけ。それ以外はオールオッケーだと思ってるよ」

そう言うとビールをグビグビとおいしそうに飲んだ。