結局、コンビニに歩きながら二人で話した事と言えば、実にありきたりな卒業後の近況報告だった。
ぼくは、卒業後は日雇いのバイトを続けて、そこから日雇い派遣会社の社員から誘われて、派遣する側の仕事に移行したところだった。
とは言っても、アルバイトの内勤だったけれど。

谷沢藍は越谷にある結婚式場に就職していた。
ただ、話を聞く限りではあまり満足していないようだった。

「退屈」と何度も繰り返し言っていた。

それと「高校って楽しかったなぁ」という現在にまったく満足していないネガティブな発言を繰り返していた。
彼女自体は損なわれる事なく、以前同様のキャラクターを同窓会中は発揮していた。

しかし、このコンビニへ二人で行った時の様子だけは、以前の谷沢藍らしからぬ姿だったのでよく覚えている。

同窓会は、これで打ち止めで、谷沢藍ともこの同窓会以来一度も会っていなかった。


ちょっと気になる所はあるにせよ、とにかく、谷沢藍が「お金と将来」の約束を男としているだなんて、彼女イメージにそぐわない事というだけは確かだ。