そんな具合の高校時代だった。
つまり、まあ話した事はあるよ、でも個人的な付き合いってほどでもないよ、と。

考えてみると、高校時代に谷沢藍との特別なエピソードとか思い出って何もない。
その他の当時のぼくの彼女との甘酸っぱくも悲しい思い出ならそれにストックはあるが、それは大事にしまっておくべきだろう。

谷沢藍と卒業後に再び出会ったのは同窓会だった。
確かあの時、ぼくは彼女がひっそりと泣いている姿を見た。
例によって気の利いた言葉は何も掛けて挙げられなかったが、泣いている彼女の姿はなんというか・・・。

とても綺麗だった。

そして、何よりもその姿を見たのは、おそらく自分だけだった事が当時は少しうれしかった事を覚えている。