「!」

 別にやましい事はないが、剛は思わず赤面してしまう。実は、剛は女が少し苦手なのだ。
 嫌いという訳ではないのだが、どうもまともに話せないのだ。
 しかし、そんな剛の心など知る由も無く、ミオは透き通った目で不思議そうに見てくる。

「う、うう~」
「な~んだか、変なやっちゃな~剛は。まあ、良いけ~な。今日は三人で登校でもするとするかいね~」

 爽やかに笑いながら言うと、さっさとミオは歩き出す。
 それを、しばし目で追うと、タケルは嫌~な笑いを浮かべて剛の肩に手をかける。

「剛っち~。君もついに恋かな~?」
「な、なに言ってんだよ!ただ、少し見とれただけだ。」
「ふふ~ん。本当かな~?お兄さん、疑っちゃうよぉ~ん?」

 二人がこんな会話をしていると、「二人とも、何してん?早く来るっちゃ」と、ミオがやや離れた所から声を掛けてきた。

「ほ、ほら。ミオが待ってるし、行くぞ!」
「はは~ん。このタケちゃんに対してはぐらかそうってか?まあいいや・・・分かった~!急いで追いつくから少し待っててくれ~!」

 三人は、学校に向かっていった。


―学校(ホームルーム)―

 二学年は生徒数が百人程なので、一クラス大体33人で出来ている。
 剛達のクラスは2‐3、最後尾のクラスなので、帳尻合わせに、生徒数は今のところ34人である。ちなみに、最後尾のクラスなのは関係無いのだろうが、2‐3はガリ勉やアニメマニアなど、キャラが濃い奴らが多い。そのせいか、担任のキャラも濃かったりする・・・

「皆~、ルイ先生だよ~ん♪」

 朝の、ガヤガヤとするクラスに、若い女の声が響き渡る。
 彼女の名は佐々木涙(二十代前半)。この学校にいる先生の中で一番若く、一番背が小さい。
 背が小さいのがうけてか、男子生徒内では密かなアイドル(?)になっている。

 勿論、そのせいで女子からはかなり嫌われてはいるが、その人気は先生達の間でもあるので、今の所はかなり良い位置にある。