「そうそう。タケちゃんも、お兄さんとしてそう思うよ?」
「でもな~、そのせいで俺はいつも飛鳥の席に座るはめになるんだよな。」

 そう言いながら、渋々と剛が飛鳥の席に座ると、いきなり飛鳥の手が目の前に伸びてきた。

「な、何?」

 半ば驚きを露わにしながら剛が言うと、本から目を少しも離さず、真剣な顔で飛鳥が言う。

「私の机の中から、『極秘!』って書いてあるノート取って」
「えっ、いいのか?俺が机の中身を見ても」
「いいから、早くする!」
「は、はい!」

 飛鳥の勢いにやや押され気味で、剛は飛鳥の机の中へと手を入れる。
 すると、思った以上に机の中身は少なく、目的の物はすぐ見つかった。

 飛鳥の言った通り、そのノートには『極秘!』と大きく書いてあり、その下に可愛らしいウサギの絵が手書きされている。これだけ見ると、飛鳥はまさに、ただの女の子である。

 剛がそれを渡すと、飛鳥は凄いスピードでそのノートにメモをし始めた。
 剛達が半ば呆れ顔で見ていると、急に「そうだ!」と、ミオが言った。

「どうしたんだミオ?」
「うん。ねえ、飛鳥ぁ~。アンタって御代町の神社行った事あるけ~?」
「ううん。聞いた事はあるけどない。」

「そんじゃあ、特大パフェの出る店は?」
「それもない」

 このやり取りの間も、飛鳥は物凄い勢いでメモを取り続けていた。
 剛とタケルがこの二人の会話について行けないでいると、それに次のミオの一言が拍車をかけた。