彼女が笑う。






いつもは気を張って、
上を向いている眉毛を
下げて。






大きくて澄んだ瞳を潤ませ
美しい光を湛えて。






少し切れ長の、
垂れた眼を細めて。






彼女が笑う。






「奏ちゃん、大好き。」
と言って。






その言葉は俺にとって、
この世のどんな物にも
変えられない、






宇宙一の、言葉だった。