結局おれにも渡里にも、その線を越えて尚を不快にさせるのが怖かったんだ。
もし……そんな事で嫌われてしまったら?
そう思うと、越えられなかった。
多少の違和感と越えた時の事を量りにかけてしまっていた。
変な事して嫌われる位なら、この違和感を誤魔化して笑っていたほうがいい。
そんな訳ないのに……。
おれ達は逃げた。
尚という大きな存在から。
でもそれは美麗がこのクラスに来てから変わり始めた。
普通ならムカつく事も、あいつがしても何とも思わなくて。
あっという間におれ等の中に入って来て。馴染んで。
昔から解決できなかった、
渡里と咲の事や。
佑騎の女嫌いや。
尚と琴羽の事や。
江連の嫌がらせ。
尚と凛のすれ違い。