「狂犬も好きな女の手にかかれば、子犬だなぁ」 そう頬杖をつきながら呟く成月。 「あぁ?」 しびれを切らした声の尚が成月を睨んだ。 「あれ?聞こえてた?」 って挑発的な笑みを見せる成月。 「行くぞ……」 「え?」 ロッカーから降りて、あたしの腕を掴むとスタスタと歩き出してしまった。 あたしは成月の方に振り返って、 (馬鹿。からかったから怒っちゃったじゃん) って口パクで言った。 すると成月も口パクで手を振る。 (頑張って~) あの馬鹿ぁ!!