「……やめた」
って、あんなに吸ってたのに。
本気で言ってるの?
「本気で言ってるの?」
同じ事を聞く梨佳さん。
「主流煙より副流煙のが害なの知ってるだろ?」
そう言った尚に、何かを察した梨佳さんはニヤッとしてあたしを見た。
「愛されてるねー。美麗ちゃん」
「え!?」
すっとんきょうな声を出してしまった。
あ。そういえば、尚いつもあたしが隣にいる時離れて吸ってたな。
もしかして……あたしのため?
カッと赤くなる顔。
熱が1度ぐらい上がった気がする。
チラッと尚を見つめると、尚は優しく微笑んだ。
ここは……自意識過剰になってもいいんだよね?
「あたしの事なんて……気にしなくてよかったのに」
「俺がしたくてしてんだからいいだろ?」
そう言ってフイッと視線を逸らした。
でも……。
「ありがとう」
そう口にすると、尚はぶっきら棒に、
「あぁ」
って言った。

