「うん……」
そう頷くと、尚はあたしの目に溜まる涙を指ですくった。
「よし。……腹減ったな。何食う?」
え。
「映画付き合ってもらったし。尚が食べたいのでいいよ」
泣き止んだあたしがそう答えると、尚は上を向いてしばらく考える。
「うーん……。んじゃ、あそこにすっか」
「いらっしゃい♪」
連れて来られたのは、何かバーみたいな感じのお店。
「ど、どーも!お久しぶりです!」
頭を提げてあたしがあいさつしているのは、尚のお姉さん。
あの勘違い事件以来の再会。
「ここ。あたしの店なの。ゆっくりしてって?」
そうお姉さんは言って、あたし達を席に案内した。
お姉さん……相変わらず綺麗だなぁ。
そう、見惚れてしまう。

