ほんのり香る尚の香水。
それにドキドキしてしまう。
……ま。あたしの為に映画譲ってくれたし。
許してあげるか。
そう微笑んで、あたしはまた映画を観始めた。
映画が終わって……。
「うぅ……」
駄目。感動して涙が止まらない。
「おいおい……そんなに泣くかよ普通」
呆れた顔であたしを見る尚。
「だって……だってぇ」
感動したんだもん。
ホントにいい話だったんだもん。
「ふぇー」
泣き続けていると、尚は溜息をついてあたしの後頭部に手を伸ばして、胸にあたしの頭を引き寄せた。
「分かったからもう泣くな?」

