痛い視線に慣れないまま、尚とあたしは映画館の前に着いた。
「何観たい?」
そう聞いてくる尚。
今やってるのは……恋愛ものにホラー……。
ホラーは怖いし。
でも、尚が恋愛……て感じじゃないしなぁ。
だからって尚に退屈させるのもやだしな。
「……ホラー?」
って言うと、尚はあたしを見下ろす。
「お前観れんのかよ?」
う……。
「みっ、観れるよ」
嘘です。嫌いです。
ホラーなんて観れません。
そう思っていると、尚はあたしの手を引いてチケット売り場に向かう。
「すいません……これ大人2枚」
そう頼んだのは……恋愛もの?

