この人は……ただ人を愛しすぎてしまって、それが憎しみに変わってしまっただけ。 ちゃんと話をすれば分かってくれる。 そう……江連の死んだような瞳を見て思った。 「確かに昔の話なんて知らない。でも琴羽さんの事聞いて分かるの。琴羽さんの気持ち……」 同じ女として。 同じ人を好きになった人間として。 分かるの。 「だから知ったような口利くな!!!」 そう怒鳴って江連はあたしの上に馬乗りになった。 「悪いけど……あんたおれを完璧怒らせたみたいだ」 そう言って不気味に微笑んだ。