「今日はどうした?遅くない?」


おしぼりを手渡され、危うく顔を拭きそうになる。


「今日は、後輩に誘われて合コン」


「へー。王子様探しってわけね」


くっくっと笑う翔に、チッと舌打ちをする。


「でも、そんな疲れた顔してたんじゃあ、ハズレだったわけ?」


「んー、いい人だったけどね」


「もしかして、また『趣味はバイオリンです』なーんて、言ったんだ」


うっ、と声を漏らすと、翔はハハハと笑う。



「んで、バイオリンのこと詳しくないくせに、見栄張って話してた、と」



ツボにハマッたのか、お腹を押さえて笑う翔に、とりあえず生、と注文する。



「はいはい、生ね」



目の前に、コースターと生ビールをコン、と置かれる。



「王子様探しもいいけど……」


「え?聞こえない」


翔の言葉を聞き返すが、翔はなんでもないと笑う。



それから、翔と他愛もない話をして、浴びるほど飲み、家に帰った。






どんなに眠くても、化粧を落とし、念入りにケアをする。