ほとんど魔力を消耗したリウは普段使うことのない魔方陣を描いた。
ただ、そこで問題が発生したのだ。
あまりに体力を消耗していたリウは、ほとんど感覚だけで魔方陣を書いた。
その時、たまたま魂を一生捧げるための重要な呪文を書きかけで終わらせてしまった。
書きかけの呪文にはほとんど効果はなく、魂だけの身体になったはいいものの、わずかな時間でしか行動ができなかった。
時間が切れたリウの魂はそのまま本来の身体に戻っていった。
それはちょうど、全ての戦いが終わり、ゼロが力尽きた後。
「つまり、あそこの呪文を間違えてなかったら、元の身体に戻ることもできなかったし、もしかしたら、魂じゃなくて、あたしの臓器をゼロにあげることになってたかも知れないってこと。
まぁ、不幸中の幸いね。」
「不幸中の幸いだなんて。
リウちゃんが目覚めたのも、ほんの半日前だよ。
まだ安静にしてなきゃ、ダメでしょ?」
ルカにしかられるリウはまるで小さな子供のようだった。


