だから、一週間が過ぎた頃春美は伊能先生に告白した。





生徒と先生という禁断の壁があるにもかかわらず、春美は簡単に告白した。





「先生、私は先生が好きです」
「気持ちは嬉しいが、石川と付き合うことはできない」
「私は生徒と先生という関係は付き合うのに関係ないと思ってます。それに、単純な想いだけで先生に告白してるんじゃないんです」
「…それは、渡部先生より俺のほうが気持ち的に強いと言いたいのか」
「そうです」







この思いが本気であることを強く、伝えようとしていた。





長い沈黙の中、口を開いたのは拓也だった。










「何度言われても、俺は石川と付き合うつもりはない」
「何故ですか」
「石川は生徒と先生という関係は付き合うのに関係ないと言ったな」
「はい」
「だったら、もっと大人になれ。何も気にしない生徒、付き合う気になる教師なんていないぞ」
「えっ?」
「それと悪いが俺は、この先どんなに一緒にいても石川を好きになることはない。それだけは分かる」




目を見てしっかりとした声。
今回も涙はなかった。







いつもなら諦めずに何度も立ち向かっていた。








なのに、諦めていた。












諦めることがバカみたいだと思っていたのに……。