―春―
「大変です!このままだと春の彼女が誘拐されてしまいます!!急いで!!」
暫く携帯とにらめっこしているとモトが裏声で携帯の画面に写し出された千夏先輩からのメールの文章を読んだ。
「…おめっいつの間に!」
あっという間に時間はすぎ、今校門を出ようとした所だった。
「ね、何?彼女さん誘拐されたの!?」
目を丸くするモトにはぁとため息をつくと校門の外に出た。
「誘拐なわけないじゃん。なんか、あったんだろ?」
「あ、もしかして春遊ばれてんじゃん!?春が嫉妬してんの面白がってさ!」
「…はぁー。いくらなんでもお前みたいに失礼な人じゃねぇよ。んじゃな、」
軽く手をヒラヒラさせてモトと反対方向へ向きを変えて俺は歩き出した。


