その赤薔薇を手折る時



ニコリともしない顔でアスカはルインを見上げた。


高慢。


冷静。


絶対。



容赦からは主人としての姿勢以外のものはなにもなかった。




「僕の言葉は絶対だ。嘘は言わない。」



さぁ、私は貴方に精一杯尽しましょう。

この高慢さが失われる時まで。



ルインはゆっくり頭を下げた。


美しい黒髪が揺れる。



「はい、坊ちゃん。」





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絶対服従という言葉がこの世界にはある。


主人と執事の関係もその中の一つである。


なにがあっても忠誠心を忘れず、どんな時も仕える。



これが執事の忠義の心得だ。


しかし、主人にもそれなりの信頼行動がいるもので、玉座に腰を下ろすだけの器がなくてはこの関係は築けない。





「これをどうしろと言われましても・・・・」