その赤薔薇を手折る時



「坊ちゃん」



ルインの指がそっとアスカの瞼の下を拭った。


「そんな顔しないでください。ほんの冗談です。」

少し困った顔でアスカの顔を覗きこむ。

綺麗な瞳が潤んで光をはなったビー玉のようだ。


「おいたがすぎましたね。」



「お前は僕をみくびっているんだ!」



アスカが勢いよく言った。


ルインも戸惑い顔でアスカを見つめ返すことしかできなかった。


「ぼ・・」



「お前の喧嘩、かってやる」



「え?」



主人の言葉は絶対だ。

いつか言われた忠義の心得。


今、それが現実になる。



アスカは執事の言葉に絶対になった。



「僕がかってやると言ってるんだ」